品質月間テキスト

478カスタマーサクセスの推進―お客様と共に―

関 浩一
関工業株式会社 代表取締役
近年のグローバル化や少子高齢化、デジタル技術の進展により企業経営環境が変化する中、持続的成長には経営資源の効果的活用と柔軟な組織作りが求められている。日本品質奨励賞(TQM奨励賞)を受賞した関工業株式会社は、2016年からTQM活動を開始し、5Sを導入して職場環境を改善した。2019年には全社的な品質向上を宣言したが、新型コロナウイルスの影響で業務の自動化・デジタル化を進め、生産性と精度を向上させた。また、顧客支援体制の強化にも取り組んでいる。本テキストでは、これらの事例や課題を通じて、中小企業が持続可能な経営を目指すためのヒントを紹介する。

479海外から見た日本の品質経営の強さ

Prem Motwani(プレム モトワニ)著
ジャワハルラール・ネルー大学 元教授
日本の品質経営(製品やサービスの品質だけでなく、顧客価値の創造を含めた経営全体の質を向上させる考え方)はQC・QAからTQC・CWQC(全社的品質管理)、そしてT Q M (総合的品質管理)へ進化し、日本の戦後の高度成長を支えたものであり、現在も日本のものづくりと「ジャパンクオリティ」の優位性を保っていることはよく知られている。また、日本の品質経営は独自性がありながら普遍性があるため1980年代ごろから世界50ヵ国以上で大変な人気を集めてきたし、今も途上国の製造業の発展に大きく貢献している。近年、国内で日本の品質管理が衰退してきていると一部で懸念されているが、日本の品質経営は今でも世界に通用するものであり、好調である。

480悩める管理間接部門の管理者に捧げるTQM読本

猪原 正守
大阪電気通信大学 名誉教授
企業の生産性と品質の向上は重要な経営要素とされている。TQMは,企業のすべての部門・あらゆる階層の全員が参加し、継続的な品質改善を通じて顧客満足と企業価値の向上を目指す経営手法である。しかし、製造部門における活動のように経営に貢献する指標が明確ではないため、間接部門においては全員参加のTQMが推進できていないという悩みがある。本書では間接部門の管理者たちの果たすべき役割と責任、達成度を評価するための管理項目の設定の考え方を紹介する。

481安全確保のための人と機械の協調

伊藤 誠
筑波大学システム情報系 教授
本テキストでは、自動化・自律化技術の進展に伴って起こりうる、人と機械との間の不整合に注目します。自動化の進む今日の人間機械系において、具体的に起こりうる問題事象、その事象が起こりうる原因について、事例を交えて紹介をします。さらに、システム全体としての安全を確保するために、人と機械とがいかに協調すべきなのか、できうるのかについて、考え方を述べます。

482みんなの科学的な問題解決―問題解決を生きる力に―

熊井 秀俊
一般社団法人日本品質管理学会 フェロー 監事
これまで産業界で実践を通じて培われてきた問題解決を、このたび仕事の中だけに留まらず社会・生活の様々な場面でも活用できる普遍的な方法として確立することができました。そこで、より広くの世の中の方々へ、より早く学生・生徒さんにも、問題解決について触れ、やってみようと思ってもらうことを目指して、特に、問題解決の「考え方」と、問題解決を「生きる力」にすることに重点を置いた、家族にも読ませたい入門書として本テキストを作成しました。

483岡山村田製作所におけるQCサークル活動の推進―現場に寄り添ったカイゼンを楽しむためのQCサークル活動の支援―

亀山 薪太郎
株式会社岡山村田製作所 モノづくりサポート課 シニアプロフェッショナル
株式会社岡山村田製作所では、2004年からQCサークル活動を実施しています。
活動の更なる活性化に向け、実態調査を実施したところ、活動時間が有効に使えていない、また、活動自体にやらされ感があり、楽しめていない実態が浮き彫りになりました。そこで、SNSでなじみのある「ショート動画」による学習教材の提供や、「カイゼンを楽しむ」を体感できるカイゼンフェス、改善Dayなどの仕掛けを行い、社内のQCサークルの活性化につなげた実例をご紹介します。

484企業に求められる品質マインドの醸成―階層別の学びと行動―

松本 英里子、安藤 悟空
SOMPOリスクマネジメント株式会社 リスクエンジニアリング部 
品質不正を防ぐためには、役割や立場の違いに応じた理解と行動が欠かせません。本書では、過去の品質不正事例をもとに作成した想定ケースを通じて、現場・管理職・経営層それぞれに求められる「学び」と「行動」を整理し、品質不正の未然防止に向けた階層別教育のあり方を考えます。